いちごのキャンディ
「ちょっ…何すんの?
マンガいいとこだったのに」
ベッドの上。
俺に押し倒されてるこの状況でも、全く顔色を変えない琴日。
……さすがだよ、もう。
負けたわ。
「これ欲しい?」
俺はポケットから、いちごのキャンディを取り出し、琴日に見せた。
山田はたぶん知らない。
琴日は、何よりもいちごのキャンディが好きだって。
「欲しい!」
予想通り、目を輝かせる琴日。
「――いいよ、やる」
押し倒した状況のまま、琴日にそれを渡すと、琴日はさっそく包み紙をあけて、口にいれようとした――その手を、すかさずつかんで。
至近距離から、琴日を見据える。
「知ってた?」
「は…なにが?」
「ホワイトデーに、男が女にあげるモンには、意味があるって」
まー俺も、女子以上にそういう情報に詳しい、シュウから聞いたんだけど。
「マシュマロは…あなたが嫌い。
クッキーは、あなたは友達。
で、キャンディは?」
…琴日、山田じゃない。
俺を見ろ。
「キャンディは、
“あなたが好きです”」