ぶきっちょ
「俺、ずっと浜口っちゃんが好きだった」
しばらくの沈黙の後、友貴の口から出た言葉。
俺は驚いて、まじまじと友貴を見た。
友貴は真っ直ぐ、俺を見据えていた。
目を反らしたら何だか負けな気がして、俺は必死に見つめ返す。
「中学二年から。悠斗とそんなに変わらねぇ時期から」
友貴の口から次々に話される友貴の本音に、俺はただ呆然としていた。
「けど俺みたいな汚れた奴なんかよりも、悠斗の方が似合ってるって」
ずっとそう言い聞かせてきた、そう付け加える。
「けどやっぱり」
友貴が空を仰ぐように見上げる。
「諦めきれなかった。ずっと我慢してただけで」
そうはっきりと言う友貴は、近くの外灯に照らされて何だか輝いて見えた。
「今日浜口っちゃんと放課後出掛けてきたよ」
知ってる、そう意味を込めて俺は頷く。
友貴はまた俺を向き直す。
「もう誰にも遠慮しねぇよ」
それはきっと、俺に対しての言葉。
「付き合うことになったから」