ぶきっちょ
―完敗。
まさにこの言葉が似合うな。
ただ呆然とそう感じた。
中学に入学してからふらふらと、色んな女との噂が絶えなかった。
そんな友貴が急に変わったのは中学二年の夏休み前。
きっとその頃からずっと………
俺がずっと踏み出せずに、ただただ遠回りばかりして。
いやむしろ横道に逸れまくって。
その間もずっと、ひたすら彼女を思い続けていた友貴。
敵うわけねぇよ。
「悠斗も千夏ちゃんと頑張れよ」
そう言って、友貴は家の方向へと向かった。
その背中を見つめながら、俺は近くの壁に寄りかかった。