ぶきっちょ
千夏ちゃん
「悠斗!!」
今日も校門には俺よりも一足先に着いた千夏ちゃんの姿。
「さっき山下くんと由香里も帰ってたよ」
千夏ちゃんがそう言って嬉しそうに笑う。
友貴と浜口さんが付き合い始めてから、いつの間にか2週間近くが経っていた。
あれから、友貴と俺の間には別に気まずい雰囲気は流れていなかった。
ただお互いに、彼女の話はしなかった。
だから俺は、千夏ちゃんから聞くのが唯一の情報源。
「続いてるんだね」
俺はただそう返す。
もう前ほど、千夏ちゃんが彼女の話をしても動揺はしなかった。
まだとても、平気な顔をしては二人を見ることはできないだろうけど。
「うん、すごくうまくいってるみたい」
自分のことのように、笑顔で言う千夏ちゃん。