ぶきっちょ



「何見てんの?」


昼休み。


教室で飯を食い終わった俺は、タウン誌をパラパラとめくっていた。


「どっか行くの?」


そう言って前の席に座り、一緒に雑誌を覗き込む友貴。


「あぁ」


俺はただそれだけ答えると、また雑誌へと目を向けた。


近すぎても微妙だけど、遠すぎでも疲れるし。


俺はひたすら頭を悩ませていた。


「千夏ちゃんと?」


友貴が尋ねる。


「おう。一ヶ月記念にどっか行こうかってさ」


俺の返答に、友貴は少し悩むような表情。


「水族館は?あそこなら近くに海もあるだろ」


友貴はそう告げると、クラスの他の連中の元へと向かう。


……確かに。


俺はまた雑誌をパラパラとめくる。


バスで数十分の所にある水族館は、中学の遠足で行ったことのある場所だった。












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