ぶきっちょ



じっと見つめ続けてるあたしから目を逸らして。


彼はただそれだけを言った。


「ごめんね、いきなり。じゃ、明日頑張ってね」


あたしは鞄を持つと、それだけ言って教室をでた。


靴箱まで走って、上履きを脱ぐ。


それを靴箱に直そうとその場にしゃがみこむ。


『ごめん。無理』


たったの二言。


目も見てくれなかった。


分かってた結果だけど、想像以上にきつくて。


あたしはそのままそこに崩れるように座った。


「無理…か。そんなの分かってたもん」


力なく呟いたとき、やっと涙がでた。


その瞬間、何かの糸が切れたように次々と涙が溢れる。


あたしはそのまま、泣き続けた。



















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