ぶきっちょ
公園までのたった少しの道のりが、すごく長く感じる。
千夏ちゃんは空気を読んだのか、珍しく何も喋らない。
俺も何だか話しかけにくくて、ただただ足を進める。
公園に近づく度に、繋いだ手に力がこもる千夏ちゃん。
それが嫌でも分かるから、俺はまた戸惑う。
俺の決断は間違っていないのか。
けど例え、間違っていたとしても。
何も知らない千夏ちゃんをこれ以上見ていられない。
すれ違う知り合いが、俺に話しかける。
俺は軽く挨拶を返して、また足を進める。
前に進むために。
気付けばもう公園の入口で、俺は辺りを見渡す。
もう薄暗い公園には、俺達以外は誰もいなかった。