ぶきっちょ
「何度も諦めようと思ったけど…」
「………もういいってば!!聞きたくない!!!」
俺がまた口を開くと、千夏ちゃんは大声を出した。
大声だけど、すごく震えた声。
いつも明るい千夏ちゃんの姿は、今は全く感じられない程。
彼女は小さな体を震わせていた。
「ごめん、けど…」
最後までちゃんと、聞いて欲しくて。
それが俺のできる最後のことだと思ったのに。
「嫌だってば!!!聞きたくないの!!!!!」
彼女はしゃがみこんで大声で拒否をする。
「聞けってば!!!!!」
俺は気付いたら、彼女以上の大きな声を出していた。
彼女の必死さは十分分かってた。
けど俺もそれ以上に必死だったから。