ぶきっちょ



千夏ちゃんは俺の大声に、大きく肩を揺らした。


壊れた人形のように呆然と俺を見つめる。


たくさんの涙を溢しながら。


「今更って思うだろうし、自分でも呆れるくらい自己中だけど……」


ゆっくりと、千夏に合わせてしゃがみこむ。


「けどやっぱり俺は……」


はっきり言うのに、最後の最後までやっぱり躊躇ってしまう俺。


このまま立ち止まっていちゃ、今までと何も変わらない。


千夏ちゃんを傷付けてしまうのは、十分承知の上。


けど何より、自分の気持ちに正直でいたかった。


公園の入口から、人影が見えた気がした。


でも俺は、周りの目なんて気にしないで決心する。


そしてゆっくり、口を開いた。


「やっぱり浜口さんが好きだ」












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