ぶきっちょ
それから何とか二人でベンチに座った。
もう辺りはすっかり暗くて、たまに犬の散歩してる人が通るくらい。
「あたしでいいなら、話聞くから」
千夏ちゃんが、俺の手に自分の手をそえて言う。
それから小さく首を振って言う。
「ううん、聞かせて?」
俺を真っ直ぐ見据えた目に、俺は逆らうことができなくなったように話し始めた。
浜口さんとの出会い。
元カレの話。
俺と下田さんのこと。
そして、あの日の告白。
千夏ちゃんは話の間、ずっと真剣に聞いてくれた。
時々、相槌を入れながら。
全てを話し終えた俺を、また真っ直ぐ見据える千夏ちゃん。
そしてゆっくり、けどはっきり俺に問う。
「悠斗は、また逃げちゃうの?」