ぶきっちょ



一足先に教室を出た友貴に、やっと靴箱で追い付く。


「昨日の公園でいいだろ?」


友貴がぶっきらぼうに言った。


俺は何も言えず、ただ頷いた。


それは友貴が、今でも見たことないくらいの険しい表情だったからなのか。


昨日の様子をやっぱり見てたことがはっきりしたからか。


分からないけど、俺はただ友貴についていく。


途中で何人かのクラスメートとすれ違う。


今日は朝から二人の様子がおかしかったからか、皆好奇の目で俺らの様子を伺う。


二人並んで歩くことが多いが、こうして見るとでかい背中。


「早く来いよ」


いつの間にか立ち止まってしまっていた俺を振り返り、友貴がぶっきらぼうに声を掛けてくる。


「…あぁ」


俺はもう一度だけ、大きく深呼吸をして前に進んだ。


気持ちも前に進めるつもりで。












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