ぶきっちょ



「…で?」


男二人ベンチに並んで座ると、友貴が問いかける。


いきなりそんな風に問掛けられても、何についてなのかが分からない。


黙る俺に友貴は、頭をぽりぽりかいて聞き直す。


「昨日のは、どうゆうつもりなわけ?」


友貴はかなり、イライラした様子。


それが表すのは、それだけ友貴が浜口さんのことを本気ってこと。


「俺、やっぱり……」


本気で来られたら本気で返す。


俺は一息ついてからゆっくり口を開いた。


「浜口さんを諦めきれないし、やっぱり好きだ」


真っ直ぐ、友貴の方を見た。


友貴は相変わらず険しい表情のままで。


「由香里を振ったって話は、何だったわけ?」


俺を睨み付けるような表情で聞いてきた。


「本当なわけ?」


俺は何も言えずに頷いた。


だってそれは何も間違ったことなんかなくて、本当のことだったから。














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