ぶきっちょ
鋭い痛みが頬を打つ。
視界が一瞬で変わり、俺は気付いたら公園の地面に倒れてた。
「で?今さら何なわけ?」
さっきよりも更にいらついた様子の友貴。
もう一発、いや何発だろうと殴ってやる。
そんな雰囲気だった。
「由香里のことはもういいって言ってたじゃねぇかよ!!」
友貴が大声をあげるので、近く砂場で遊んでいた子供たちが一斉にこちらを見る。
「…言えるわけねぇじゃんかよ」
情けないけど、小さな声で返した。
千夏ちゃんとのことを、本気で頑張ろうと思った。
浜口さんなんか忘れようと思った。
そんな矢先に彼女と再会した。
しかも千夏ちゃんの友達として、だ。
さすがに言おうとは思った。
けど、言えるわけない状況にすでになってたんだから。
「……何だよ、それ」
友貴が言う。
まるで俺を軽蔑したように。
「所詮そんなもんだったんだろ?お前の気持ちなんて」