ぶきっちょ



鋭い痛みが頬を打つ。


視界が一瞬で変わり、俺は気付いたら公園の地面に倒れてた。


「で?今さら何なわけ?」


さっきよりも更にいらついた様子の友貴。


もう一発、いや何発だろうと殴ってやる。


そんな雰囲気だった。


「由香里のことはもういいって言ってたじゃねぇかよ!!」


友貴が大声をあげるので、近く砂場で遊んでいた子供たちが一斉にこちらを見る。


「…言えるわけねぇじゃんかよ」


情けないけど、小さな声で返した。


千夏ちゃんとのことを、本気で頑張ろうと思った。


浜口さんなんか忘れようと思った。


そんな矢先に彼女と再会した。


しかも千夏ちゃんの友達として、だ。


さすがに言おうとは思った。


けど、言えるわけない状況にすでになってたんだから。


「……何だよ、それ」


友貴が言う。


まるで俺を軽蔑したように。


「所詮そんなもんだったんだろ?お前の気持ちなんて」













< 131 / 213 >

この作品をシェア

pagetop