ぶきっちょ



何だよ、それ。


今度は俺がそう思っていて。


気付いたらもう友貴を殴った後だった。


さっきとは逆で、俺が友貴を見下ろすような状態。


「違ぇよ…」


そんなんじゃねぇ。


浜口さんのことは、本当に想ってる。


この気持ちだけは誰にも否定されたくない。


「お前こそ、浜口さんのこと本気なわけ?」


頭に来てしまったからか、もう言ってることは滅茶苦茶だった。


逆ギレだってのは、十分だった。


けどもう引き下がれない、そう思った。


「あんだけ散々、女で遊んでたくせに」


もうずっと前のことだってゆうのに、今さらなことを言ってるのも分かってた。


「お前なんか浜口さんには似合わねぇよ。彼女が汚れる」


険しい顔をしていた友貴が、一気に表情を崩した。


傷付いてるって、一瞬で分かった。


けどもう、俺から折れるなんて出来なかったんだ。














< 132 / 213 >

この作品をシェア

pagetop