ぶきっちょ
「そうかもな」
友貴はただそう呟くと、制服に付いた土を払いながら立ち上がった。
自嘲的に笑いながら。
「友貴…」
ごめん、そう続ける前に友貴が割って入る。
「何かごめんな」
友貴がそう言ったので、もう俺は口を開けなかった。
去ってゆく友貴を呼び止めることも出来なかった。
友貴が、親友がひどく傷付けたっていうのに。
このまま二度と、友貴が俺に話しかけないんじゃないかって思えるくらいだったのに。
もう自分がどうすればいいのか分からなかった。
前に進もうって思ったのに。
もう自分が今、前を向いているのか。
後ろを向いているのか横を見てるのかさえ、分からなくなってしまったんだ。