ぶきっちょ
立ち話もなんか変だし、俺は辺りを見渡す。
座り心地の悪くはなさそうな場所を見つけて、座り込む。
浜口さんが戸惑っているようなので、俺は鞄からスポーツタオルを取り出した。
「とりあえず座ってよ」
そう言ってタオルを敷くと、彼女は少し躊躇いながらも座ってくれた。
久々の、彼女との二人きりの空間。
自分の隣に彼女が座っていること。
何だか今のこの全ての瞬間が不思議な感じ。
それだけで満足しそうになっていた俺は、我に返ると口を開いた。
「昨日は急にごめんな」
きっと今日、千夏ちゃんと気まずかっただろう。
俺と友貴みたいに喧嘩になっていないだろうか。
もちろん、男女の違いはあるからそこまでひどくはないだろうけど。
「いや…あたしこそ叩いたりしてごめんなさい」
彼女は俺の痣をちらりと見ながら、慌てて言う。