ぶきっちょ
「けど、おかげで目覚めた」
俺は意を決して、表情を引き締めた。
「もう逃げねぇって決めた。ちゃんと向き合うって」
今からでもまた、逃げ出したりしないように。
俺ははっきりと彼女に自分の思ったことを伝える。
すっと立ち上がり、彼女に向き合う。
外灯に照らされた彼女は戸惑ってはいるものの、真っ直ぐに俺を見つめる。
俺が惚れた、あの真っ直ぐな目で。
今度こそ、伝える。
そう心の中で決心すると、俺はまた口を開いた。
「ずっとずっと好きだった」
そう言って、彼女に合わせてまたしゃがんだ。
彼女の瞳が、戸惑いに揺れている。
今なら、信じてくれるか?
「浜口さんしか見えねぇんだ、頑張っても。今更都合良すぎって思うかもしれないけど、信じて」
真っ直ぐに見つめてくれてる彼女を、真っ直ぐに見つめ返す。
吸い込まれそうなほど真っ直ぐな瞳に、俺はとにかく必死だった。
「好きだ」