ぶきっちょ



「けど、おかげで目覚めた」


俺は意を決して、表情を引き締めた。


「もう逃げねぇって決めた。ちゃんと向き合うって」


今からでもまた、逃げ出したりしないように。


俺ははっきりと彼女に自分の思ったことを伝える。


すっと立ち上がり、彼女に向き合う。


外灯に照らされた彼女は戸惑ってはいるものの、真っ直ぐに俺を見つめる。


俺が惚れた、あの真っ直ぐな目で。


今度こそ、伝える。


そう心の中で決心すると、俺はまた口を開いた。


「ずっとずっと好きだった」


そう言って、彼女に合わせてまたしゃがんだ。


彼女の瞳が、戸惑いに揺れている。


今なら、信じてくれるか?


「浜口さんしか見えねぇんだ、頑張っても。今更都合良すぎって思うかもしれないけど、信じて」


真っ直ぐに見つめてくれてる彼女を、真っ直ぐに見つめ返す。


吸い込まれそうなほど真っ直ぐな瞳に、俺はとにかく必死だった。


「好きだ」















< 138 / 213 >

この作品をシェア

pagetop