ぶきっちょ



「もう絶対傷付けたりしないから」


不安そうな彼女に、そう付け足す。


泣き止んだ直後の、まだまだ潤んでいる瞳に吸い込まれそうだった。


そして押さえきれずに、また彼女へと近づく。


戸惑っていた彼女が、途端に我に返って俺を突き放す。


鞄を慌てて掴み立ち上がると、そのまま俺の元から離れる。


「俺本気だから!!!!」


走り去る彼女に、そう叫ぶ。


彼女は走るスピードを緩めてはくれなかった。


俺の最後の叫びは聞こえていたのか。


そんなこと分からなかったけど、俺は彼女を追いかけることはできなかった。


一人残された空き地の隅で、俺は座り込んだまま。













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