ぶきっちょ


結局その日一日、俺はぼけっとしていた。


部活を終えても帰り支度に時間がかかり、気付けばもう他の部員は帰っていた。


校門の所に、スカートを着た影が見える。


何となく俺は足を早める。


「浜口さん?」


予想通り、その影は浜口さんで。


俺は彼女の前で立ち止まる。


「どしたの?」


俺が尋ねると、彼女は気まずそうにうつ向く。


少なからず自分に会いに来たなんて考えていた俺は、その様子に少し落ち込みながら尋ねる。


「友貴?」


俺の問掛けに、彼女はうつ向いたまま頷く。


辺りを見渡すけれど、もう辺りにはサッカー部の連中はいない。


「連絡とってみた?」


俺が尋ねると、彼女は一瞬俺の方を見てから小さな声で答えた。


「昨日から何度も連絡したけど、ずっと連絡取れない」














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