ぶきっちょ



『校門で浜口さんがお前のこと待ってた。今日はとりあえずもう帰らせたけど』


送信して、携帯をポケットにしまう。


「あのさ」


ずっと黙っていた浜口さんが口を開いたので、俺は視線を彼女へと移す。


「質問していい?」


真っ直ぐに、俺の目を見ながら言う。


俺もしっかり彼女を見つめ返して、ゆっくり頷いた。


「昨日の本当?」


……やっぱり。


まだ疑われてたか。


当たり前といえば当たり前だけど。


「本気だよ」


俺は力なく笑いながら答える。


彼女は一度、視線を俺から反らす。


少しの間の後、彼女はまた俺に聞いてくる。


「じゃあ何で、無理だって言ったの?」


瞳にいっぱいの涙を溜めながら。


その目を見て、本当に俺は馬鹿なことをしたんだと改めて実感した。


予想よりもかなりひどく、彼女を傷付けていたんだと。















< 145 / 213 >

この作品をシェア

pagetop