ぶきっちょ
『校門で浜口さんがお前のこと待ってた。今日はとりあえずもう帰らせたけど』
送信して、携帯をポケットにしまう。
「あのさ」
ずっと黙っていた浜口さんが口を開いたので、俺は視線を彼女へと移す。
「質問していい?」
真っ直ぐに、俺の目を見ながら言う。
俺もしっかり彼女を見つめ返して、ゆっくり頷いた。
「昨日の本当?」
……やっぱり。
まだ疑われてたか。
当たり前といえば当たり前だけど。
「本気だよ」
俺は力なく笑いながら答える。
彼女は一度、視線を俺から反らす。
少しの間の後、彼女はまた俺に聞いてくる。
「じゃあ何で、無理だって言ったの?」
瞳にいっぱいの涙を溜めながら。
その目を見て、本当に俺は馬鹿なことをしたんだと改めて実感した。
予想よりもかなりひどく、彼女を傷付けていたんだと。