ぶきっちょ
「吉村!!!!」
いつものように部活を終えた俺に、サッカー部の連中が声をかける。
その中に、友貴の姿はない。
あれから友貴とはあまり一緒に行動していない。
部活も行ってないようだし、授業さえも遅刻や早退は当たり前。
「今日も友貴いねぇの?」
俺は半分呆れながら、数人の部員に問いかける。
それと同時に、顔を見合わせあう奴ら。
何か気まずい雰囲気が漂う集団に、何か違和感を感じた。
「どした?」
俺が尋ねると、彼らはお互いに目配せをする。
言いにくい、そんな雰囲気だった。
やっぱり友貴は何か隠してるんだろうか。
俺はもう一度、集団に問掛けなおす。
「何かあったのか?」
それを受けて、一人が意を決したように一歩前に進む。
「吉村も聞いてないんだろ?」
何を?
「俺らも今日聞いたんだけど」
一呼吸置いて、ゆっくりそいつは言った。
「友貴の留学の話」