ぶきっちょ
ぶきっちょ ver.友貴
プロローグ
何一つ、不自由したことはなかった。
この整った顔立ち、長身、運動神経。
頭だって決して悪くない。
いつだって周りには人が寄ってきてくれた。
女なんて皆一緒だと思ってた。
だからできるだけ楽な関係を望んでた。
後腐れなく、いつでも都合のいい奴を選んでた。
自分が本気で誰かを想うなんて、あり得ないと思ってた。
だから。
君に出会ったことで初めての気持ちを味わった。
人を想う心も。
手に入らないもどかしさも。
心の傷みも。