ぶきっちょ
転入生
「友貴―!!」
昼休みに入るとすぐに、美月先輩が廊下から俺を呼んだ。
一つ上の三年生で、学年一を争うくらい美人でスタイル抜群の先輩。
男の噂が絶えないけど。
最近は俺をとても気に入ってくれてるようで、こうして毎日昼休みには二年の教室へとやって来る。
「早いっすね」
俺がそう言って教室を出ると、先輩はすぐに腕を組んでくる。
「早く会いたかったんだもん」
一つ上のはずなのに、何かすごく可愛らしい仕草に頬が緩む。
「いつもの場所に行こ」
俺はそう耳元で囁くと、肩を抱いて歩き出す。
同級生は羨ましそうに俺を見る。
だけど俺と美月先輩は、別に恋人同士ってわけじゃない。
お互いにそれは承知した上での関係。
小学高学年の頃から俺は、一人だけずば抜けて成長期が早かった。
身長はもちろん、顔立ちもだいぶ大人びてきてたし。
中学に入学したら、綺麗なお姉さんがいつも構ってくれた。
同級生のギャルもどきも構ってくれたし。
そして、今に至る。