ぶきっちょ
「ごめんなさい」
美月先輩といつものように、体育館裏のサッカー部の部室で情事を済ませた時。
外からふと声が聞こえた。
凛とした、意志のはっきりした感じの声。
疲れてぼーっとしていた頭に、何だかやけに焼き付いた。
隣では先輩が身なりを整えていた。
「ごめん友貴、先に戻るね」
先輩は可愛らしく微笑んでそう言うと、部室を出ていく。
俺はしばらくぼんやりと、部室に座り込んでいた。
サッカー部の部室は、他の部の部室よりも少し綺麗だ。
それは成績がいいから、学校からの補助とか保護者からの援助金が多いらしい。
うちのサッカー部はこの辺の中学じゃダントツで強かった。
そして俺は、少年団でやってたからか中学でもすぐにレギュラーだった。