ぶきっちょ
「友貴―!!!!」
昼休みが終わり、掃除の時間になる頃。
教室に戻った俺に、幼なじみの悠斗が走り寄って来た。
「どこ行ってたの?」
俺とは正反対に、成長期がぐんと遅い悠斗。
まだまだ可愛らしい男の子って様子の悠斗には、部室でナニしてたなんて言えない。
「ちょっとな。どした?」
俺の問掛けに、悠斗は声を潜めて言う。
「俺、好きな子出来た」
女のように少し頬を赤らめて、はにかむように笑う。
「は?」
俺は驚いて、悠斗をまじまじと見つめる。
悠斗とは今までそんな話をしたことがなかった。
悠斗は男達で馬鹿な騒ぎをするのが大好きで。
周りの奴に彼女が出来たって焦ることも、羨むことさえなかった。