ぶきっちょ
「本気?」
俺は何だか心配になって、悠斗に問掛けた。
まるで保護者気分。
「うん。知ってる?転入生のバレー部の子」
悠斗は元気に頷いて、続ける。
「すんごくかっこいいんだよ、その子」
……かっこいいって。
俺は半ば呆れながら聞いていた。
好きな女をかっこいいと言うなんて、聞いたこともない。
「ま、頑張れよ」
俺が流すようにそう言うと、悠斗は横で文句を言う。
「あー!!冗談だと思ってるんだろ?」
俺はまたそれを上手く流してたしなめる。
本当に純粋で、汚れをしらない。
悠斗と俺が仲がいいのは、周りから見たら不思議なものだろう。
互いに違うからこそ、意気が合うんだろうか。