ぶきっちょ
「ちょっ……友貴」
そう言いながらも、腕を首に回して来る先輩。
今日は部室の裏で話をするだけのつもりだった。
けど何となくそういう雰囲気になって、俺は思わず口付けた。
口では抵抗するくせに、すでに艶のかかった声をあげ始める。
「友貴、部室入ろう?」
先輩が、我慢できないというように俺の腕を掴む。
俺もポケットから部室の鍵を取り出して立ち上がる。
「……好きな人がいるんで」
聞こえた声は、この前と同じ声。
俺は何となく興味を引かれて、建物の陰から顔を出した。
そこには三年の畦地とかゆう有名な男前と。
後ろ姿だけでも、十分に魅力的と思える女子生徒がいた。
「彼氏?」
畦地が尋ねると、女は黙って頷く。