ぶきっちょ



情事を済ませたマナミは、はだけたままの制服でポケットから煙草を取り出した。


「トモも吸う?」


そう言ってライターと煙草を差し出す。


「いいわ、俺これでもスポーツマンだし」


そう言いながら微笑んで、彼女にそれを突き返す。


実は煙草の臭いがあまり好きじゃないし。


何となく始めたサッカーだけど、それなりに熱中してるし。


もう少し頑張れば県の選抜の候補にも入れるらしいし。


サッカーのほうが、女よりも楽で好きだった。


「そっか」


そう言ってマナミはまたポケットにそれをしまう。


「トモさ、意外と真面目だよね」


微笑みながらマナミは言う。


「サッカー部でも普通にレギュラーだし、何気に頭いいし」


そう言って俺の肩に頭を預ける。


「あたし、本気で惚れそう」


少し潤んだ瞳で俺を見つめて、そのまま口付けようとしてくる。


「それは勘弁」


俺はそう言うと、少しマナミと距離を取る。


「本気とかマジで面倒くさいし」


冷たいと、自分でも思ったけどこれが本心。


「それと俺、煙草嫌いだから吸ったらキス無理」













< 159 / 213 >

この作品をシェア

pagetop