ぶきっちょ
情事を済ませたマナミは、はだけたままの制服でポケットから煙草を取り出した。
「トモも吸う?」
そう言ってライターと煙草を差し出す。
「いいわ、俺これでもスポーツマンだし」
そう言いながら微笑んで、彼女にそれを突き返す。
実は煙草の臭いがあまり好きじゃないし。
何となく始めたサッカーだけど、それなりに熱中してるし。
もう少し頑張れば県の選抜の候補にも入れるらしいし。
サッカーのほうが、女よりも楽で好きだった。
「そっか」
そう言ってマナミはまたポケットにそれをしまう。
「トモさ、意外と真面目だよね」
微笑みながらマナミは言う。
「サッカー部でも普通にレギュラーだし、何気に頭いいし」
そう言って俺の肩に頭を預ける。
「あたし、本気で惚れそう」
少し潤んだ瞳で俺を見つめて、そのまま口付けようとしてくる。
「それは勘弁」
俺はそう言うと、少しマナミと距離を取る。
「本気とかマジで面倒くさいし」
冷たいと、自分でも思ったけどこれが本心。
「それと俺、煙草嫌いだから吸ったらキス無理」