ぶきっちょ



次の日の昼休みは、いつものようにマナミは来なかった。


美月先輩との関係を切ってから、以前のように同級生のギャルが寄ってきた。


けどマナミとつるむようになって、また距離を作られた。


マナミは美人だし、結構気が強い。


だから皆は、マナミに遠慮するようになってる。


俺は何だか久しぶりに一人で過ごしたくて、教室を出た。


いつものように体育館裏に向かう。


そこにはまた彼女がいる。


けどいつもと違うのは、彼女が一人なこと。


一人で隅に座り込んで、指輪を呆然と見つめていて。


うっすら目には涙が浮かんでいる。


そして決心したように立ち上がると、隅にまたしゃがみ込む。


そのへんの石を拾うと小さな穴を掘り、指輪を埋める。


「シンの馬鹿」


そうポツリと言うと、その場を立ち去った。














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