ぶきっちょ
「トモ」
そう言って、だるそうに座り込んだ俺の隣に座る。
「何?」
俺は冷たく答え、マナミを見る。
マナミはいつもの気の強い感じはなく、不安に揺れた目で見つめ返す。
「あたし、彼氏と別れた」
真っ直ぐ俺を見て、そう告げる。
「で?」
俺は変わらず冷たい態度を貫き通す。
「煙草も止めたんだよ?」
マナミはうつ向きながら言う。
「で?俺にそんなこと報告してどーしたいわけ?」
イライラする。
マナミの言いたいことは何となく分かってた。
だからこそ、イライラする。
「トモが嫌いって言ったから止めたんだよ?」
堪えきれなくなった涙が、マナミの頬を伝う。
「頼んでねぇし、そんなこと」
俺は立ち上がってそう答える。
「話、それだけ?」
そう言いながらズボンに付いた土を払う。
「もう戻っていい?」