ぶきっちょ



「何ではっきり言わねぇの?」


俺が真後ろに来ても気付かない彼女にそう問い掛けると、彼女が驚いて振り返る。


しかし辛そうな表情のまま彼女は黙る。


中学時代、あんなに逞しく見えた彼女がとても弱々しく見えて。


支えてやらなきゃって強く感じた。


けど今まで女を傷付けることしかしてきてない俺は、


何をすればいいのか解らず、ただ彼女をバスに乗るように促してそっとしてやるしかなかった。


「無理すんな」


そう言うのがやっとの俺はタオルを彼女に被せてやるしかできなくて。


彼女はタオルに隠れた状態で涙を流した。


その涙が、何に対するものなのか。


誰に対するものなのか。


再会するまでに彼女に何があったのか。


全く見当のつかない俺は、ただ窓から見える景色を見ていた。


何もできない自分に対する怒りを拳に握り締めながら。


















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