ぶきっちょ
もう辺りも暗くなったバス停。
ここにいても会えるなんて保証はなかったけど。
俺はバス停のベンチに腰掛けて待ち人を待った。
できるだけ早く伝えたくて。
電話やメールじゃ済ませたくなくて、直接伝えたい。
ここに来て三台目のバスが停留所に停まる。
それからゆっくりと降りてくる親友。
「よっ」
ただそれだけ声を掛けた俺に、心なしか沈んだ表情の親友が口を開く。
「デートうまくいったんだ?」
少しだけ、罪悪感が胸に現れる。
けど俺はそれを無理やり打ち消して頷く。
決めたんだ。
俺が幸せにするって。
悠斗に見えないようにぎゅっと拳を握り締めて、ゆっくりと口を開く。
二年間黙ってきた俺の秘密。
彼女への想い。
自分自身の決意を。