ぶきっちょ
「うーん」
翌日の朝。
結局一晩中疼いた右膝に不安を感じた俺は、また近所の整形外科に来ていた。
俺の膝を触り、レントゲン写真と見比べて頭を悩ます医師。
さっきから悩んだ様子の医師が俺を向き直り、やっと口を開く。
「…大学病院に紹介状を書こうか」
発せられた一言に、一瞬にして頭が真っ白になる。
そんな俺から目を話し、医師は机上で何か文書を作り出す。
「なぁ、サッカーは続けられるんだよな?」
呆然としたままの頭で、一番気がかりなことを尋ねる。
「来月選抜の選考会なんだよ」
答えない医師に付け加えると、医師は難しい顔で言った。
「まだ何とも…」
書き終えた文書を封筒に入れて差し出し、医師は俺に告げる。
「とにかく、早めに診察しなさい」
大事になる前に、と付け加えて。