ぶきっちょ



「お姉ちゃん、おかえり〜」


家に帰り着くと、今年中学生になった妹の奈緒がリビングから声を掛けた。


「ただいま」


あたしはただ一言返すと、二階の自分の部屋へと向かう。


その後ろから奈緒が付いてくる。


「お姉ちゃん去年赤組だったよね?体育祭」


突然、奈緒が聞いてくる。


「うん。どうして?」


あたしの答えを聞くと奈緒は笑顔を見せながら言った。


「ハチマキちょーだい!!」


今年、あたしの出身中は建て替え工事の為、体育祭が六月中旬にある。


もう、練習の時期か。


あたしは少し考えて、ゆっくり言う。


「どこにやったか覚えてないや」


「そっか。じゃぁ明日買おうかな」


奈緒はそう言って自分の部屋に入っていった。
















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