ぶきっちょ
『ゴメン(>_<)週番だったから少し遅くなる!!』
バス停のベンチに一人で座るあたしの携帯に届いたメール。
あたしはすぐに『全然いいよ』と返す。
一分と経たないうちにまた携帯が震え、また山下くんからのメール。
『まぢゴメンね、すぐ行くから』
何か山下くんらしいなって微笑みたくなる。
きっと仕事が終わったら走ってきて、また謝るんだろうな。
にやけそうになる顔を引き締め、ふと西高の方へ目をやる。
視界に入ったのは、校門の横できょろきょろする千夏の姿。
そっか……今日はデートか。
また胸が少し傷んで、あたしは俯いた。
親友の千夏が幸せそうに彼氏を待つ姿。
本当は自分のことのように喜んであげたいのに。
まだちょっと、あたしには無理みたいで。
とりあえずあたしは見なかった振りをしようと思った。