ぶきっちょ
踏み出す一歩
「え?本当に?」
その日の夜。
あたしはまず静香に電話をした。
山下君との事を伝えると、とても驚いた様子。
「……どうしたの?急に」
驚いていても、やっぱり静香は冷静で。
聞かれることによって、あたしも自分の考えや気持ちを確認できる気がする。
「あたしさ、本当に吉村君のことがすきだったの」
何かある度に彼を思い出す。
「……静香の言う通り、まだ全然引きずってる」
千夏を見ると、すぐに彼を連想して。
勝手に傷付く。
「けど、いつまでも逃げたままじゃダメだって思う」
静香は何も言わずにただあたしの話を聞いてくれる。
「それに、本当に心から千夏を祝ってあげたいの」