ぶきっちょ
あたしの話が終わると、ずっと黙っていた静香がゆっくりと聞いてくる。
「山下くんは……吉村君のこと知ってるの?」
少し、躊躇いがちに。
「あたしがまだ前の恋愛を引きずってるのは知ってる」
それを知った上で、彼はあたしを求めてくれた。
「もしかしたら、吉村君から聞いてるかもしれない」
周りから見たら、あたしはただ甘えてるだけかもしれない。
山下君といると落ち着くし、頼りになる。
早く吉村君とのことを綺麗な思い出にしてしまいたい。
「少しでも、前に進みたいんだ」
はっきりと、今の気持ちを静香に伝える。