ぶきっちょ
「そっか、頑張ってね。あたしは由香里の味方だからね?」
静香はいつもの優しい口調で言う。
通話終了のボタンを押す。
電池が残り1この表示になっている。
あたしは携帯を充電器に接続して、ベッドに横たわる。
『少しずつでいいから、そいつのこと忘れればいいよ』
山下君はそう言って、優しくあたしの頭を撫でてくれた。
中学の時もそうだった。
いつもあたしがきつい時には何故かそばにいてくれて。
あたしが一番欲しい言葉をくれた。
こうして少しずつ、山下君のことをふと考えられるようになりたい。
……吉村君のことよりもずっと、もっとたくさんに。