ぶきっちょ
「うわー、何か懐かしくね?」
山下君がそう言いながら校門をくぐる。
校門から生徒用玄関に続く道は、相変わらず花壇の花に囲まれて。
その隣の運動場にはたくさんの部活生が、練習に熱中している。
「山下さーん!!!!!」
サッカー部の輪の中から、1人が抜け出してこちらに向かって来る。
「お久しぶりです。元気っすか?」
日に焼けて黒い肌。
それから除く白い歯。
山下君は微笑み、後輩の頭ををくしゃくしゃにする。
「元気だよ。キャプテン頑張ってるか?」
「もちろん!!……あ、山下さんまざりません?今から紅白戦するんで」
後輩の問いかけに、山下くんはあたしを見る。
「いいよ、あたし体育館とか行くし」
山下くんは嬉しそうに微笑み、鞄や上着をベンチに置いて走り出す。
すぐにサッカー部の輪に加わり、何やら楽しそう。
あたしは彼の荷物の横に腰掛け、しばらく彼の様子を見ることにした。