ぶきっちょ
「こっちだ、こっち!!パスしろっ!!!!」
黒髪に練習着の中学生にまじって、茶髪に少し着崩した制服の山下くん。
なのに何の躊躇いもなく、試合形式の練習に熱中。
きっと、誰よりも声出してるんじゃないかな。
「よっしゃー!!!」
大袈裟すぎるくらいのガッツポーズでこちらを向く。
山下くんが先制点を決めたようだ。
後輩たちが彼の周りに集まり、彼はからかうように後輩たちの頭をくしゃくしゃにする。
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『浜口っちゃんもやってみなよ』
クラスマッチの準備中。
準備もほぼ終わった頃に、男子の何人かが練習を始めた。
あたしがぼんやりとそれを見ていると、山下くんが話しかけてきた。
あたしにパスを送り、叫ぶ。
『シュートだぁー!!!』
思いきりボールを蹴ったけど、ボールは大きく反れた。
『へったくそー』
からかうように、けど優しく山下君は笑った。