ぶきっちょ
「結構長居しちゃったね」
辺りはもう暗くなってきていて、下校時刻だった。
中学生に混ざって高校生が二人。
もちろん目立ってるだろう。
周りの視線を気にするあたしとは対照的に、山下君は言う。
「そだね。……そういえば今日部活なかったの?」
今更ながら山下君がこの時間に帰っているのに疑問を持つ。
「今日は自主練日。何となく中学思い出してさ」
山下君はそう言って微笑む。
「中学の間にこうやって由香里と通学路歩いてみたかったからかも」
悪戯っこのような微笑み。
いつも思うけど、山下君って凄いな。
思った事を素直に口に出せる。
あたしが単に言えないだけかもしれないけど。
「なぁ、ついでに寄り道しない?時間平気?」
立ち止まって山下君が言う。
時刻はまだ6時半。
「いいよ」
あたしも微笑んで答えた。