ぶきっちょ
できるだけ急いで、校門を出る。
いつも千夏が待ち合わせをしているのは、西高の校門横。
辺りを見渡すけど、千夏の姿は見えない。
もう吉村くんに会えたのかな?
プレゼントを持つ紙袋に力が入る。
山下くんと付き合い始めてから、吉村君には会うことはなかった。
別に避けてたわけじゃないけど。
やっぱりまだ緊張してしまう自分がいる。
上手く話せるかな?
けど今なら、笑顔で『二ヶ月おめでとう』って言える気がする。
ゆっくり、もう一度だけ深呼吸。
とりあえず近くで千夏たちを探そうと、あたしは一歩踏み出した。
「…………もういいってばっ!!!聞きたくない!!!」
そんなあたしの耳に聞こえたのは、確かに千夏の声だった。