ぶきっちょ
『またいつでも見学来てね!!できれば入部して欲しいけど』
帰り際にバレー部の部長さんに言われた。
この前中学でしたときも、今日も。
やっぱりバレーは楽しくて、あたしはバレーが好きなんだって実感した。
吉村くんのことを思い出してしまう要素ではあるけれど。
いつまでも彼のことに繋がることを避けてばっかりじゃいけない。
あとで、山下くんに電話でもしてみようかな。
『やっぱり好きなんでしょ?バレー』
この前の中学からの帰り道も、山下くんはそう言ってくれた。
何でかな。
山下くんはいつもあたしの考えがお見通し。
あたしが進むべき道を示してくれる。
本当に、あたしのことを大事にしてくれるし。
あたしに勿体無いくらいの自慢の彼氏だ。
たった一日会えなかっただけですごく物足りない。
早く帰り着いて、電話をしよう。
少しでも声が聞きたい。
そう思って足を早めたときだった。
「浜口さん」