ぶきっちょ



**********************


「うゎっ!!浜口っちゃんじゃん!!!!久しぶり〜」


よく見ると、吉村くんの隣にいるのは見慣れた顔。


中三の時、同じクラスだった山下友貴がいた。


「あ…久しぶり、山下くん」


あたしは我に返って挨拶を返す。


千夏が驚きながら吉村くんの隣に並ぶ。


「知り合い?」


さり気なく、吉村くんの腕に掴まりながら。


「同中。三年とき同じクラス。ちなみにこいつも」


山下くんを指差しながら。


あの頃と同じ笑顔で言う。


「へぇ…すごい偶然!!」


明美がそう言って、何やら会話が弾む。


あたしも会話に交じりながら笑った。


その間、吉村くんと目が合うことは一度もなかった。




















< 7 / 213 >

この作品をシェア

pagetop