ぶきっちょ



************************


「悠斗くん、聞いてる?」


呆然と浜口さんのことを思い出していると、千夏ちゃんが不安そうに聞いてくる。


告白するには、凄く勇気が要るだろう。


俺は逃げてばっかりでしたことはないけど。


「ごめ……」


断ろうと、口を開いた瞬間に千夏ちゃをが割って入る。


「ストップ!!」


驚いて千夏ちゃんを見ると、彼女は苦笑い。


「分かってるよ。ダメ元で言ったんだから」


そう言って、俺から目を反らす。


「ねぇ?あたしのこと嫌い?」


彼女の横顔は少し寂しそうで。


俺は慌てて否定する。


「嫌いじゃないよ」


これは本音。


毎日毎日俺や友貴に話しかけてくれて、いつもくだらないことで盛り上がる。


「じゃあさ」


彼女がまた、真っ直ぐ俺の目を見て言う。


「あたしにチャンスをくれないかな?」












< 71 / 213 >

この作品をシェア

pagetop