ぶきっちょ
************************
「悠斗くん、聞いてる?」
呆然と浜口さんのことを思い出していると、千夏ちゃんが不安そうに聞いてくる。
告白するには、凄く勇気が要るだろう。
俺は逃げてばっかりでしたことはないけど。
「ごめ……」
断ろうと、口を開いた瞬間に千夏ちゃをが割って入る。
「ストップ!!」
驚いて千夏ちゃんを見ると、彼女は苦笑い。
「分かってるよ。ダメ元で言ったんだから」
そう言って、俺から目を反らす。
「ねぇ?あたしのこと嫌い?」
彼女の横顔は少し寂しそうで。
俺は慌てて否定する。
「嫌いじゃないよ」
これは本音。
毎日毎日俺や友貴に話しかけてくれて、いつもくだらないことで盛り上がる。
「じゃあさ」
彼女がまた、真っ直ぐ俺の目を見て言う。
「あたしにチャンスをくれないかな?」