ぶきっちょ
「チャンス?」
俺が聞き返すと、千夏ちゃんは頷く。
「そ。三ヶ月……ううん、二ヶ月だけあたしと付き合って」
千夏ちゃんは俺を真っ直ぐ見つめたまま。
「まだ知り合って間もないわけだし、あたしもまだ告白するつもりなかったからさ」
そう言って千夏ちゃんは少し困ったように笑った。
「普通に友達として付き合うよりも、手っ取り早くあたしのこと知ってもらえるでしょ?」
確かに。
千夏ちゃんの案は、かなり納得させられるような内容だった。
「お願い!!」
千夏ちゃんが両手を合わせて、拝むように俺に頭を下げる。
若干、周りの視線が気になる。
「だめ?」
千夏ちゃんが不安そうに俺の顔を覗き込む。
「……いいよ」
俺は気付いたらそう言っていて、千夏ちゃんが可愛らしい笑顔で微笑んでいた。