ぶきっちょ


************************


「ま、とりあえずおめでとうな」


そう言って友貴が俺に微笑みかける。


「さんきゅ」


友貴の綺麗な顔立ちを見ていた俺は、ずっと疑問に思っていたことを尋ねる。


「なぁ、友貴は彼女とか作らないわけ?」


友貴は中学の頃、結構好き勝手やっていた。


中学に入学したときにはすでに、飛び抜けて大人びた雰囲気持ってたし。


身長だってかなり高い方だった。


上級生のお姉さま方や、同級生の結構お洒落な子達との噂が凄かった気がする。


けどそんな噂は中学二年の夏頃、何故かぱったり止んだ。


かと言って、特定の彼女ができたわけでもないんだけれど。


友貴曰く、飽きたらしいけど。


結局高校に入学した今の今まで、友貴は彼女どころか好きな女の話さえしなかった。















< 76 / 213 >

この作品をシェア

pagetop