ぶきっちょ
「てかお前初彼女?」
自分の話が終わって安心したのか、友貴が言う。
「あ?……まぁ」
「そっか。頑張れよ」
友貴が少しからかうように俺をこづく。
俺は愛想笑いを返しながらも、友貴に後ろめたい気持ちでいっぱいだった。
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『ね、あたしと付き合わない?』
あれは12月の始め。
模試の結果について下田さんと話しているときだった。
『は?いきなり何?』
驚く俺に、下田さんはさも当たり前のように言う。
『だってあたし吉村のこと好きみたい』
照れた様子もなく、下田さんが笑顔で言う。
確かに最近、下田さんは前より頻繁に俺の側にいる気がする。
『……あの子の代わりでいいから』
そう言ってうつ向いた下田さんが、彼女とかぶる。
こんなときに最悪。
そう思いながらも、俺は下田さんの頭に手を伸ばした。
ぽん、と優しく彼女を慰めるように手を載せる。
何だか下田さんを振ることが出来なくて、俺は結局OKをした。