ぶきっちょ
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「あっ!!浜口っちゃんじゃん、久しぶり」
俺の隣から、友貴が乗り出して声をかける。
千夏ちゃんが俺の隣に来て聞いてくる。
「知り合い?」
俺は騒ぎ出す心臓を必死に抑え、出来るだけ平常を装って答える。
「同中。ちなみにこいつも」
友貴を指差すと、友貴が営業用スマイルで自己紹介をする。
「すごい偶然だね〜」
浜口さんの隣にいた女の子が口を開いて、そこから何やら話が盛り上がる。
開放的な性格の友貴は、何かと冗談を混ぜながらその場を盛り上げる。
俺も千夏ちゃんに腕組みされながら、会話についていく。
時々ちらっと浜口さんの方を見てしまったけど、目が合うことはなかった。
勿論、目が合ったところでどうしようもなかったんだけど。