ぶきっちょ



「おはよ、悠斗」


浜口さんと再会した次の日。


朝登校すると、靴箱で偶然友貴と会う。


「おはよ」


昨日別れた後、浜口さんと何を話したのか。


彼女がどんな表情で話をしたのか。


そんな疑問ばかりが頭の中を巡る。


「昨日楽しかったか?」


友貴が少しからかうように俺に聞く。


何となくだけど、機嫌が良さそうに見える。


「ま、それなりに」


「チューくらいしたのか?」


友貴が笑いながら耳元で聞いてくるから、俺は少し動揺してしまう。


「まぁ…」


何となくうしろめたくて、返事を濁す。


でも友貴には筒抜けのようで、頭をくしゃくしゃに撫でられる。


「俺もやっぱり彼女作ろうかな」


友貴がそう呟く。


俺はこの時何となく、胸騒ぎがしたんだ。











< 86 / 213 >

この作品をシェア

pagetop